今年も難病申請の時期がやってきましたね。
昨年はコロナの影響もあって、自動的に1年間延長されていました。
今年は役所での申請が必要となります。
今年はじめて難病申請される方、
申請が通るかどうか不安に思っている方向けに
わかりやすく申請手続きについてご紹介します。
特定医療費支給認定更新申請手続きとは
潰瘍性大腸炎の方は、医療費の助成を受けられます。
医療費の助成を受けるためには、申請が必要です。
「特定医療費支給認定申請手続き」と呼ばれている申請です。
※2回目以降は「特定医療費支給認定更新申請手続き」という名称。
申請者の収入に応じて月に払う医療費の上限が設定されており、それ以上は払わなくてよくなります。
難病申請をするときの審査ポイント
潰瘍性大腸炎で特定医療費支給認定申請手続きをしても、必ず通るとは言えません。
昔は潰瘍性大腸炎と診断されている人はすべて審査に通っていましたが、今は違います。
審査のポイントは2つです。
・潰瘍性大腸炎の重症度
・医療費が33,330円以上かかった月が、1年間に3回あるかどうか
潰瘍性大腸炎の重症度
潰瘍性大腸炎の重症度は、軽症、中等症、重症の3つに分類されています。
軽症の場合は、審査に通りません。(一部例外あり)
中等症、重症の場合は基本的に審査を通過します。
重症度ですが、現在診察を受けている主治医の診断書をもとに判断されます。
正式名称は「臨床調査個人票」です。
主治医はガイドラインに基づき、便の回数、血液検査の結果などから重症度を判断します。
よほどのことがない限り、主治医に中等症、重症と判断されれば審査に通ります。
主治医の判断が誤っていると審査機関によって判断された場合、申請却下になる可能性もなくはありません。
申請用の臨床調査個人票(診断書)は、3,000円~5,000円程度します。
申請却下となってもお金は戻りませんので、主治医の方とよく相談されることをおすすめします。
医療費が33,330円以上かかった月が、1年間に3回あるかどうか
主治医によって軽症と判断された場合、基本的に申請却下です。
しかし、ひとつだけ例外があります。
潰瘍性大腸炎関連の医療費が33,330円以上かかった月が、1年に3回以上あった場合です。
このケースは「軽症高額該当」と呼ばれ、難病に伴う医療費助成の対象になります。
ここでポイントになるのが、実際に支払った金額ではなく医療費総額で判断されること。
指定難病の場合、実際に支払う金額は医療費総額の2割です。
実際に支払った医療費が6,666円以上で、医療費総額は33,330円を超えます。
月6,666円以上の医療費支払いが、1年以内に3回あれば申請に通ると言い換えることができます。
自己負担上限管理票(黄色の紙)、領収書に記載された医療費総額の合計が33,330円以上か確認しておきましょう。
同じ症状でも異なる審査結果になることがあります
「軽症高額該当」の場合、症状がほぼ同じでも審査に通る場合と通らない場合がでてきます。
軽症と判断された人には、難病認定を受けられる人とそうでない人がいるわけです。
わかりやすい例をひとつ考えてみましょう。
通院頻度が1か月に1回の人
毎月病院に通院している方は、通常であれば通院のたびに1か月分の薬をもらいます。
軽症に該当している方は、アサコールやペンタサ、整腸剤だけをもらっている方が大半。
私の10年にわたる経験上、診察料、1か月分の薬代(アサコールや整腸剤)、血液検査代だけでは33,330円を超えません。
病院に毎月通っており軽症と判断された方は、審査に通らないケースが多いですね。
※薬の種類やジェネリックかどうかで金額は前後します。
通院頻度が3か月に1回の人
潰瘍性大腸炎による症状が比較的安定している方は、3か月に1度の通院という方も多いのではないでしょうか。
3か月に1度血液検査をして、3か月分の薬(アサコールやペンタサ)をもらっているという人も多いですよね。
私の10年にわたる経験上、診察料、3か月分の薬代(アサコールや整腸剤)、血液検査代で33,330円を超えます。
※処方薬がジェネリックの場合超えないこともあります。
1年間に4回は33,330円を超える月ができることになるので、「軽症高額該当」にあたり審査に通過できるのです。
毎月通院している人が医療費助成の対象外で、3か月に1度の方が対象となるケースが考えられるのは不思議ですね。
難病申請をするメリット
難病申請をするメリットをまとめました。
医療費の助成が受けられる
潰瘍性大腸炎が安定している人でも、経過観察のために大腸カメラを毎年やっている人は多いです。
大腸カメラ(病理検査)をした場合の自己負担額は、3割負担の方で10,000~20,000円と言われています。
潰瘍性大腸炎の方は定期的な検査が必要なので、軽症でも難病指定を受けることはメリットです。
わたしは潰瘍性大腸炎が軽症だったのですが、再燃して入院したときがあります。
そういったときでも医療費助成があれば、費用負担を抑えることができます。
割引が受けられる
難病患者に発行される「特定医療費受給証」を提示することで割引が受けられます。
例えば、ドコモ、au、ソフトバングは、それぞれ難病患者向けへの料金割引を展開。
公共施設でも、特定医療費受給証の提示で無料または割引となるところがあります。
難病患者福祉手当がもらえる場合がある
市町村によっては、難病患者福祉手当が毎月もらえるところもありますよ。
例えば東京都足立区の場合、足立区独自の制度として年間18万円が支給されるんです。
東京都杉並区もやっており、こちらは年額198,000円。
東京は太っ腹な制度を導入しているところが多いですね。
茨城県は県全体で、難病患者福祉手当制度を実施しています。
※年収による制限あり
難病申請をするデメリット
難病申請をするデメリットをまとめました。
所得が多い方は費用負担が大きい
所得が多い方で尚且つ軽症である場合は、難病申請をするメリットはあまりありません。
低所得者の場合自己負担上限額が月額2,500円で済むのですが、上位所得者に該当する方は30,000円です。
大腸カメラを1回やっただけでは月額上限に達しません。
入院でもしないと、月に30,000円も医療費がかかるケースは少ないと思われます。
誤解されがちなこと
難病申請をためらう方が考えがちなデメリットが2つあります。
・難病ということが周りに知れ渡らないか
・保険の契約などで不利にならないか
難病申請したからと言って、その情報が会社等に伝わることはありません。
自分が難病であることを伝えなければ、だれにも伝わることはないので申請はデメリットではないといえます。
次に保険の契約ですが、難病申請をしてなければ健康告知が不要になるわけではありません。
したがって、申請したからと言って不利に働くことはないです。